彼と奥方が対峙する。
お互いの絡み合う強い視線が、まるで目に見えるようだ。
ジリ・・・と奥方が距離を詰める。
あたしのノドがごくりと鳴った。
「わらわに刃向かうか? ふんっ」
「・・・・・」
「もはやお前には、ほとんど力は残ってはおらぬであろう」
奥方が勝ち誇ったように言う。
ここまでに、門川君は大技小技の連発だった。
たぶん、ものすごく力を消費してしまったはず。
いくら彼が氷系統の術を得意としていても、体力がもたない。
あたしの胸は一気に不安に染まった。
「門川君・・・」
「天内君、下がっていたまえ」
彼は奥方から視線を逸らさないまま、あたしに話しかけた。
「でも」
「僕なら大丈夫だ」
「・・・・・」
「心配いらない。『側にいれば無敵』だろう?」
彼はチラリとあたしを見て、優しく微笑んだ。
「・・・・・うん」
あたしは大きくうなづいた。
「愚かしい。諦めて早々に逃げ出せば良いものを」
あざける様な奥方の言葉。
門川君はまた冷徹な目で奥方に向き直る。
「僕はもう二度と、諦めも逃げ出しもしません」
「命を無駄に捨てるか。ほんに愚かしい」
「この命、捨てはしません」
彼の手が、メガネにかかる。
白い指先がメガネを外し、彼の美貌の素顔があらわになった。
お互いの絡み合う強い視線が、まるで目に見えるようだ。
ジリ・・・と奥方が距離を詰める。
あたしのノドがごくりと鳴った。
「わらわに刃向かうか? ふんっ」
「・・・・・」
「もはやお前には、ほとんど力は残ってはおらぬであろう」
奥方が勝ち誇ったように言う。
ここまでに、門川君は大技小技の連発だった。
たぶん、ものすごく力を消費してしまったはず。
いくら彼が氷系統の術を得意としていても、体力がもたない。
あたしの胸は一気に不安に染まった。
「門川君・・・」
「天内君、下がっていたまえ」
彼は奥方から視線を逸らさないまま、あたしに話しかけた。
「でも」
「僕なら大丈夫だ」
「・・・・・」
「心配いらない。『側にいれば無敵』だろう?」
彼はチラリとあたしを見て、優しく微笑んだ。
「・・・・・うん」
あたしは大きくうなづいた。
「愚かしい。諦めて早々に逃げ出せば良いものを」
あざける様な奥方の言葉。
門川君はまた冷徹な目で奥方に向き直る。
「僕はもう二度と、諦めも逃げ出しもしません」
「命を無駄に捨てるか。ほんに愚かしい」
「この命、捨てはしません」
彼の手が、メガネにかかる。
白い指先がメガネを外し、彼の美貌の素顔があらわになった。


