神様修行はじめます! 其の二

あぁ・・・もう・・・。

「天の御意思により、神の母たるわらわが正義を成そうぞ!」

もう、この人の道は・・・。

「覚悟せい。永久よ!」

もうすでに、どこにも・・・。


無力感と虚しさと。

どうにもならない憤りが心に湧き上がる。


どうして・・・どうしてこんな事になってしまったのか!

こうなるより他に道はどこにも無かったの!?

せめて、ここまで全てが悲劇になる前に!

閉ざしてしまったのは誰!?


唇を噛み締めて畳を見つめていた門川君が、両目を強く閉じる。

しばらくそのまま彼は耐え続けて・・・

やがて両目を開き、スッと立ち上がった。

あたしは彼を見上げた。


「母上、お引き下さい」

「引かぬ!」

「どうかお引き下さい」

「断じて引くわけにはいかぬ!」

「ならば・・・」


彼の目は冷静だった。

いつも通りの、あの冷徹なまでの静かな目をしていた。


「お覚悟下さい。母上」

彼もスッと前に出る。


「僕が門川を継ぎます」


譲れないんだ。

お互い決して譲る事はできない。

たとえここで相手の命を絶つことになろうとも。


この道を進む事を望み、選ぶのだから。