神様修行はじめます! 其の二

あたしと門川君は黙って奥方を見ていた。

何も言えなかったから。

視線には哀れみと同情が混じっていたかもしれない。

奥方はそんなあたし達に、息を切らせて話し続けた。


「あの女は、かつての花嫁候補の娘達と一緒じゃ。神の母の座を狙う不届き者よ」

「母上・・・」

「のぅ永久、花嫁候補の娘達はどうなったか覚えておるか?」

「・・・は?」

「罰当たりの娘達は、天罰が下ったであろう?」

「・・・・・」


門川君は、ハッと息を呑んだ。

かつての娘達は、天の裁きにこじつけられて殺された。

奥方の一族たちの手にかかって。

・・・・

まさか・・・

あたしも息を呑み、ニヤリと笑う奥方を見た。


「まさか・・・母上?」

「お前の母にも天罰を下してやった」

「・・・・・!」

「神の裁き、天の定めじゃ」


天罰を下した!?

だって門川君の両親は戦死したんでしょ!?

お母さんは、生きては帰れない戦いに赴いて死んだって・・・。

お父さんは、お母さんを見捨てられずに、周囲が止めるのも聞かずにその戦いに参戦して・・・。

そして死んだって絹糸が言ってた!


「我が一族が裏で手を回し、戦いに送り込むよう仕向けた」

「・・・・・」

「そして戦いの場で一族の刺客が、あの女を背後から切り殺した」

「母・・・・・」

「遺体は、異形のモノに喰わせてやったわ」

「母、上・・・・!」

「これは神の裁き。天の御意思なるぞ」

「・・・母上ぇっ―――!!!」