氷血の一族の娘。
際立つ美貌、抜きん出た能力。
物静かで落ち着いた上品な物腰。
ふたりは幾度か共に戦い、親しくなっていった。
本当に、際立って美しい娘であった。
わらわが見惚れてしまいそうになるほどに。
その美貌を見るたびに、わらわの心は不穏にざわめき・・・
わらわは華やかな髪飾りを身に付けるようになった。
永守様は、それを見ても何も言わず・・・
わらわの心にひとつ、黒いシミがポツンとついた。
その娘は、よく笑顔を見せた。
なんと下賎な女であろう。人前で笑うなどと言語道断。
だが、その笑顔の先にはいつも永守様の笑顔があった。
ふたりは微笑み見詰め合っていた。
わらわは、豪華な衣装を身にまとうようになった。
やはり永守様は何も言わず・・・
心の黒いシミは大きくなった。
ほどなくふたりは、夜を共にするようになる。
ふたりが共に過ごす夜。わらわはひとり、部屋で寝ていた。
ひとりの部屋はどこまでも広くて・・・
わらわは、高価な家具で部屋を満たした。
あのふたりが夜を共に過ごすたびに、それは増えていった。
黒いシミは、広がり続け・・・
やがて・・・
永久が生まれた。
永久を抱くあの女に、永守様がささやく。
『愛している。心から・・・』
そして熱く口付けを交わす。
わらわに触れなくなった唇で。
愛しげに髪を撫でる。
わらわに触れなくなった指で。
わらわの心は真っ黒に染まり・・・
両目から熱い雫が、はらはらと零れ落ちた。
神の母たる者、涙など流してはならぬ。
なのに止めても止めても・・・涙は零れ続けた。
際立つ美貌、抜きん出た能力。
物静かで落ち着いた上品な物腰。
ふたりは幾度か共に戦い、親しくなっていった。
本当に、際立って美しい娘であった。
わらわが見惚れてしまいそうになるほどに。
その美貌を見るたびに、わらわの心は不穏にざわめき・・・
わらわは華やかな髪飾りを身に付けるようになった。
永守様は、それを見ても何も言わず・・・
わらわの心にひとつ、黒いシミがポツンとついた。
その娘は、よく笑顔を見せた。
なんと下賎な女であろう。人前で笑うなどと言語道断。
だが、その笑顔の先にはいつも永守様の笑顔があった。
ふたりは微笑み見詰め合っていた。
わらわは、豪華な衣装を身にまとうようになった。
やはり永守様は何も言わず・・・
心の黒いシミは大きくなった。
ほどなくふたりは、夜を共にするようになる。
ふたりが共に過ごす夜。わらわはひとり、部屋で寝ていた。
ひとりの部屋はどこまでも広くて・・・
わらわは、高価な家具で部屋を満たした。
あのふたりが夜を共に過ごすたびに、それは増えていった。
黒いシミは、広がり続け・・・
やがて・・・
永久が生まれた。
永久を抱くあの女に、永守様がささやく。
『愛している。心から・・・』
そして熱く口付けを交わす。
わらわに触れなくなった唇で。
愛しげに髪を撫でる。
わらわに触れなくなった指で。
わらわの心は真っ黒に染まり・・・
両目から熱い雫が、はらはらと零れ落ちた。
神の母たる者、涙など流してはならぬ。
なのに止めても止めても・・・涙は零れ続けた。


