神様修行はじめます! 其の二

やがて懐妊し、永継が誕生した。

永守様は、それはそれはお喜び下さった。

わらわは立派に務めを果たした。


やはりこれで良かったのだ。

わらわは間違ってはいなかった。

全てこのまま、今まで通りにしていれば良いのだ。


つねに無表情に、ひたすら人形のように。

神の母として相応しいように。

高貴なる者として教育された通りに。


永守様に何を言われても何を聞かれても。

何があっても、どんな事態にも。

わらわはそのように振る舞い、受け答えし続けた。

寝所でもその態度を一貫して崩さなかった。


だが永守様にお会いするたび、わらわの胸は高鳴り、心は躍る。

気持ちは浮き立ち乱れてしまう。

永守様に触れられるたびに、この身は切なく熱くなり・・・

自分を見失ってしまいそうになる。


必死に押さえつけた。

不躾な振る舞いをしてはならぬ。

そんな事をしては永守様に嫌われてしまう。


無表情に、可能な限り無表情に。

どこまでも人形のように。

そして永守様の意のままに・・・。


月日が流れ・・・

少しずつ、永守様の散策に誘われる事が無くなり。

永守様との会話も無くなり・・・。



永守様は、あの女と出会った。