神様修行はじめます! 其の二

聞かせてたもれや。

あれが、何かひとつでも成し遂げた事実があると言うのなら。

次期当主を産むという、このわらわの使命を邪魔した以外に。


なにも無いではないか。


あの女もそうじゃ。

当主にもなれぬ者を後生大事に守り続けて。

そんなものに何の価値がある?

しかも、守りきれずに死なせてしもうたわ。

自分の命まで代償にしたというのに、永継は結局死んだ。


これこそ、役立たず以外のなにものでもあるまい。


『死』に陶酔して、ふたりを美化する言葉などいらぬわ。

れっきとした事実だけを示すがよい。

あのふたりがこの世に遺したと、誰もが納得できる事実を。



「さあ、聞かせてたもれ。あのふたりが役立たずで無い理由を。生まれた意味を」

「・・・・・」

「そんなものが有ると言うのならのぉ」



あたしは唇を噛んで奥方を睨んだ。

・・・悔しかった。


返す言葉が無かったから。


奥方の言う事は間違っている!

このあたしのバカな頭でも、それだけはハッキリ分かる!


でもそれを説明できない。


言葉だけなら、奥方の言ってる事は事実だと思う。

お兄さんは力を継がなかったし、当主になれなかった。

秋風さんも、お兄さんの命を守りきることができなかった。

ふたり共、自分の誓いを成し得ずに逝ってしまった。


奥方は、そんなふたりは負け組だって言いたいんだ。