聞かせてたもれや。
あれが、何かひとつでも成し遂げた事実があると言うのなら。
次期当主を産むという、このわらわの使命を邪魔した以外に。
なにも無いではないか。
あの女もそうじゃ。
当主にもなれぬ者を後生大事に守り続けて。
そんなものに何の価値がある?
しかも、守りきれずに死なせてしもうたわ。
自分の命まで代償にしたというのに、永継は結局死んだ。
これこそ、役立たず以外のなにものでもあるまい。
『死』に陶酔して、ふたりを美化する言葉などいらぬわ。
れっきとした事実だけを示すがよい。
あのふたりがこの世に遺したと、誰もが納得できる事実を。
「さあ、聞かせてたもれ。あのふたりが役立たずで無い理由を。生まれた意味を」
「・・・・・」
「そんなものが有ると言うのならのぉ」
あたしは唇を噛んで奥方を睨んだ。
・・・悔しかった。
返す言葉が無かったから。
奥方の言う事は間違っている!
このあたしのバカな頭でも、それだけはハッキリ分かる!
でもそれを説明できない。
言葉だけなら、奥方の言ってる事は事実だと思う。
お兄さんは力を継がなかったし、当主になれなかった。
秋風さんも、お兄さんの命を守りきることができなかった。
ふたり共、自分の誓いを成し得ずに逝ってしまった。
奥方は、そんなふたりは負け組だって言いたいんだ。
あれが、何かひとつでも成し遂げた事実があると言うのなら。
次期当主を産むという、このわらわの使命を邪魔した以外に。
なにも無いではないか。
あの女もそうじゃ。
当主にもなれぬ者を後生大事に守り続けて。
そんなものに何の価値がある?
しかも、守りきれずに死なせてしもうたわ。
自分の命まで代償にしたというのに、永継は結局死んだ。
これこそ、役立たず以外のなにものでもあるまい。
『死』に陶酔して、ふたりを美化する言葉などいらぬわ。
れっきとした事実だけを示すがよい。
あのふたりがこの世に遺したと、誰もが納得できる事実を。
「さあ、聞かせてたもれ。あのふたりが役立たずで無い理由を。生まれた意味を」
「・・・・・」
「そんなものが有ると言うのならのぉ」
あたしは唇を噛んで奥方を睨んだ。
・・・悔しかった。
返す言葉が無かったから。
奥方の言う事は間違っている!
このあたしのバカな頭でも、それだけはハッキリ分かる!
でもそれを説明できない。
言葉だけなら、奥方の言ってる事は事実だと思う。
お兄さんは力を継がなかったし、当主になれなかった。
秋風さんも、お兄さんの命を守りきることができなかった。
ふたり共、自分の誓いを成し得ずに逝ってしまった。
奥方は、そんなふたりは負け組だって言いたいんだ。


