神様修行はじめます! 其の二

滅火の炎が消え去った。

お兄さんと秋風さんを連れて。

伝わる事の無かった、語られる事の無かった想いも抱えて。


あたしと門川君は、強く強く抱きしめ合った。

お互いの体を支え合う指に力がこもり、震える。

歯を食いしばって・・・泣いた。

そうしなければ、ノドが潰れるほど大声を上げて泣き叫んでしまいそうだった。


わずかでも、救いになれたのだろうか?

お兄さんも秋風さんも、わずかでも救われた気持ちで逝けたのだろうか?


そればかりが頭をよぎる。

どうかほんの、ほんのわずかでも・・・。


「・・・逝ったか」


あたしの耳に、その声が聞こえた。

涙でグシャグシャの顔を上げて声の主を見た。

お白粉の塗られた能面のような顔を。


紅い唇から抑揚の無い声が漏れる。

「使えぬやつらじゃ。ふたり揃って」


あたしの心の中が荒れ狂う。

悲しみと、怒りと、憐れみと、色々な感情が混じり合って出口を求めて暴れている。


「使えないって・・・なによ、それ」

「言うたはずじゃ。子は親の道具。役に立たねば存在する意味など無い」


・・・・・。


この人に、何を言っても無駄なのだろう。

この人自身が、完全に親の道具として生きてきたんだから。

それ以外の価値を絶対に認めないように、徹底的に仕込まれて育ったんだから。

でも・・・。