永久・・・永久・・・
また泣いているのかい?
あぁ、また傷付けられているのだろうか?
今この瞬間にも、命を落とす危機に見舞われているのだろうか?
待っておいで。心配いらない。
今、行くからね。
きっとこの手で守ってあげるよ。
たったひとりの、大切な弟・・・。
お兄さんが、炎の中で必死に身じろぎする。
弟の所へ駆けつけようと。
どこへ行くかも分からずに、懸命に弟を守ろうと。
『・・・秋、風?』
もがいた手が、秋風さんの亡き骸に触れた。
『秋風? 眠っているのかい・・・?』
黒く変色しきった、秋風さんの顔の皮膚。
でも、その穏やかで優しげな表情。
『秋風・・・君はいつもとても綺麗だ・・・』
ミイラ化した手が、黒い頬を撫でる。
その柔らかな、宝物に触れるような仕草。
『君に、たったひとつだけ秘密があるんだ。恥ずかしくて、どうしても言えなかった言葉があるんだ・・・』
そっと、そっと・・・撫で続ける指先。
大切な大切な、宝物を・・・
『僕はもうずっと、君の事を愛し・・・』
轟音、ひときわ炎が激しく燃え上がり
ふたりの姿は、跡形もなくこの世から消滅した。
最後まで語られる事の無かった、密やかな想いと共に・・・


