神様修行はじめます! 其の二


永久・・・永久・・・

また泣いているのかい?


あぁ、また傷付けられているのだろうか?

今この瞬間にも、命を落とす危機に見舞われているのだろうか?


待っておいで。心配いらない。

今、行くからね。

きっとこの手で守ってあげるよ。


たったひとりの、大切な弟・・・。




お兄さんが、炎の中で必死に身じろぎする。

弟の所へ駆けつけようと。

どこへ行くかも分からずに、懸命に弟を守ろうと。


『・・・秋、風?』


もがいた手が、秋風さんの亡き骸に触れた。


『秋風? 眠っているのかい・・・?』

黒く変色しきった、秋風さんの顔の皮膚。

でも、その穏やかで優しげな表情。


『秋風・・・君はいつもとても綺麗だ・・・』


ミイラ化した手が、黒い頬を撫でる。

その柔らかな、宝物に触れるような仕草。


『君に、たったひとつだけ秘密があるんだ。恥ずかしくて、どうしても言えなかった言葉があるんだ・・・』


そっと、そっと・・・撫で続ける指先。

大切な大切な、宝物を・・・


『僕はもうずっと、君の事を愛し・・・』



轟音、ひときわ炎が激しく燃え上がり

ふたりの姿は、跡形もなくこの世から消滅した。


最後まで語られる事の無かった、密やかな想いと共に・・・