神様修行はじめます! 其の二

秋風さん、秋風さん。

あたし、力になれたかな?

あなたの想いを叶える力に、ちょっとでもなれたかな?


たぶんあなたの最期の言葉は・・・お兄さんには聞こえていなかったと思う。

それでもあなたは、あんなに温かな声だったね。

優しい、まるで歌うような声だったね。

本当に幸せそうだったね。


だから・・・これで良かったんだよね?

あなたはきっと幸せだったんだ。


たとえあなたの言葉がお兄さんに伝わっていないとしても。


お願いだから・・・幸せだったと、そう言って。

ねぇ、答えてよ秋風さん。

あなたの幸せを、あたしに信じさせて。


でなければ

そうでなければ

あまりにも・・・あなたは哀しすぎる・・・。


震えながら、あたしは門川君の胸ですすり泣き続ける。

そして彼もまた、苦しみに耐えていた。

自分の兄が目の前で炎に焼かれ、滅っせられていく様を見ながら。


「兄上・・・兄上・・・」

あたしを抱きしめる指に力が篭もる。

彼は目を逸らさない。どんなに辛くても。

兄の死に行く姿を、その目で最期まで見届ける覚悟なんだ。


「兄上・・・」

涙色に染まる、悲痛な嘆き。

あたしも精一杯、彼の体を抱きしめた。