哀しい二人を救うために。
譲れない願いを叶えるために。
「天内君・・・」
門川君は、うなづいてくれた。
そしてあたしを優しく抱きしめる。
白い輝きと共に、あたしの体の中に治癒の術が流れ込む。
加速をつけて湧き上がる血潮。
比例するように深まる悲しみ。
あたしの全身を熱い血と悲しみが駆け巡る。
それらは一本の矢のように、ひとつの形に結実する。
あの二人の穢れない心のために。
哀しく美しい、ひたむきな想いのために。
そして・・・
轟音と共に、二人の体は滅火の炎に包まれた。
炎の中で、秋風さんは微笑んだようだった。
紅蓮の炎に焼かれ、暴れ狂うお兄さんの姿。
秋風さんは強く、強く・・・そして限りなく愛しげにその体を抱きしめた。
燃え上がる炎の激しい音。
その音に紛れて、優しい声が聞こえてくる。
ふたりの今までの大切な思い出を語る、秋風さんの声が。
お兄さんへの想いの全てを伝える声が。
温かく、このうえなく幸せそうな声が聞こえる。
そしてその声は、だんだんとか細くなる。
どこまでも優しい音色はそのままに。
途切れ途切れとなって・・・
そして・・・彼女の体がゆっくりと倒れて・・・
なにも、聞こえなくなった。
あたしは門川君の胸に顔をうずめ・・・
声を殺して、泣いた。
譲れない願いを叶えるために。
「天内君・・・」
門川君は、うなづいてくれた。
そしてあたしを優しく抱きしめる。
白い輝きと共に、あたしの体の中に治癒の術が流れ込む。
加速をつけて湧き上がる血潮。
比例するように深まる悲しみ。
あたしの全身を熱い血と悲しみが駆け巡る。
それらは一本の矢のように、ひとつの形に結実する。
あの二人の穢れない心のために。
哀しく美しい、ひたむきな想いのために。
そして・・・
轟音と共に、二人の体は滅火の炎に包まれた。
炎の中で、秋風さんは微笑んだようだった。
紅蓮の炎に焼かれ、暴れ狂うお兄さんの姿。
秋風さんは強く、強く・・・そして限りなく愛しげにその体を抱きしめた。
燃え上がる炎の激しい音。
その音に紛れて、優しい声が聞こえてくる。
ふたりの今までの大切な思い出を語る、秋風さんの声が。
お兄さんへの想いの全てを伝える声が。
温かく、このうえなく幸せそうな声が聞こえる。
そしてその声は、だんだんとか細くなる。
どこまでも優しい音色はそのままに。
途切れ途切れとなって・・・
そして・・・彼女の体がゆっくりと倒れて・・・
なにも、聞こえなくなった。
あたしは門川君の胸に顔をうずめ・・・
声を殺して、泣いた。


