神様修行はじめます! 其の二

哀しい二人を救うために。

譲れない願いを叶えるために。


「天内君・・・」

門川君は、うなづいてくれた。

そしてあたしを優しく抱きしめる。

白い輝きと共に、あたしの体の中に治癒の術が流れ込む。


加速をつけて湧き上がる血潮。

比例するように深まる悲しみ。

あたしの全身を熱い血と悲しみが駆け巡る。


それらは一本の矢のように、ひとつの形に結実する。


あの二人の穢れない心のために。

哀しく美しい、ひたむきな想いのために。


そして・・・



轟音と共に、二人の体は滅火の炎に包まれた。

炎の中で、秋風さんは微笑んだようだった。



紅蓮の炎に焼かれ、暴れ狂うお兄さんの姿。

秋風さんは強く、強く・・・そして限りなく愛しげにその体を抱きしめた。


燃え上がる炎の激しい音。

その音に紛れて、優しい声が聞こえてくる。

ふたりの今までの大切な思い出を語る、秋風さんの声が。

お兄さんへの想いの全てを伝える声が。


温かく、このうえなく幸せそうな声が聞こえる。

そしてその声は、だんだんとか細くなる。

どこまでも優しい音色はそのままに。


途切れ途切れとなって・・・


そして・・・彼女の体がゆっくりと倒れて・・・



なにも、聞こえなくなった。



あたしは門川君の胸に顔をうずめ・・・



声を殺して、泣いた。