神様修行はじめます! 其の二

「問答をしている時間は無い! やれ!」

叫ぶ秋風さんの着物がどんどん腐っていく。

刺さったクナイも、すでに腐っていた。

人形のように身動きできなかったお兄さんが、もう暴れ始めている。

でも・・・!


「そんなの嫌なんだよ!」


これでこの二人が死んでしまったら・・・。

いったい、いったい何のためにこの二人は出会ったのか・・・!

その意味はどこにあるっていうの!?

そんなのあんまりだよ!


「秋風! 僕が言霊の術で兄上を倒す!」

「それは無理だ。滅火の炎で浄化するより他に、永継様は倒せぬ」

「天内君の手を、人の血で染めるわけにはいかない!」

「永久殿、天内の娘。お前たちは間違っている」


暴れるお兄さんの体を、秋風は全力で封じ込めながら言った。


「天内の炎は浄化の炎。苦しむ者を救う力だ」

「救う・・・?」

「そうだ」

「・・・・・」

「だから救ってくれ。永継様を。そしてわたしを」


秋風さんの両手の色が、黒く変色し始めた。

皮膚が腐敗し始めている。

その色はすぐに広まり、彼女の両腕まで広がっていく。


「わたしは永継様を守りきれなかった」

「秋風さん・・・」

「だから今度こそ、わたしは守ってみせる」