神様修行はじめます! 其の二

渦巻くように煙が彼女の全身を蝕む。

あまりの煙の濃さに、姿がかすんでしまって良く見えない。


「兄上、おやめください!」

「お兄さん! 分からないの!? 秋風さんなんだよ!?」


夢中で叫ぶあたし達の声は、お兄さんには届いていない。

彼女が誰だか分かっていないんだ!

そんな・・・ひどい!


秋風さんがお兄さんに殺されてしまうなんて!

そんなのあんまりだ! そんなの見たくない!

「お兄さん! もうやめて―っ!」


その時、濃厚な黒紫の煙から大量のクナイが飛び出した。

それこそ雨あられのように、畳に突き刺さる。

お兄さんの動きが完全に止められた。


秋風さんの足が畳を蹴る。

そしてお兄さんに飛び掛り、その体をがっしりと抱え込んだ。


「・・・天内の娘、今だ!」

「秋風さん!?」

「わたしの体ごと永継様を滅っしろ!」

「な・・・!?」


なに言ってんの!?

そんな事できるわけないでしょ!?


「秋風さんも一緒に死んじゃうよ!」

「それでいいんだ! やれ!」

「嫌だ!」

「嫌でもやれ!」

「できない!」

「できなくてもやれ!」


できなくても、って・・・!

できないものは、できないんだよ!