一歩、秋風さんの足のつま先が動く。
影の上のクナイがボロリと腐り、お兄さんが動き出した。
風切りの音と同時に、秋風さんの黒髪がなびく。
複数のクナイが畳に刺さり、またお兄さんの動きが止まった。
クナイがお兄さんの影を畳に縫い付けてる。
その間だけ、お兄さんは身動きできないんだ。
秋風さんは無言でこちらに向かって歩いてくる。
クナイが腐ると同時に、また動き出すお兄さん。
ドドドッと何本ものクナイが影を縫い止める。
縫い止め、腐らせ、また縫い止める。
その繰り返しが何度も続き、秋風さんとお兄さんの距離は徐々に縮まった。
秋風さんの着物の表面が腐り始めている。
「あ・・・秋風さんっ」
「・・・・・」
「秋風さん、危ない・・・っ」
「・・・・・」
あたしの声に何も答えず、彼女は前に進み続ける。
お兄さんに向かって。
その目は一途にお兄さんを見つめていた。
ただお兄さんだけを・・・。
お兄さんは、暗い情念の光の宿った目で見返している。
彼女が秋風さんだと分かっているのだろうか?
沈黙のままに二人は向かい合い、近づき合う。
「永継様・・・」
秋風さんが、ぽつりとその名を口にした。
ゴオオオッ!と黒紫の煙が秋風さんに襲い掛かる。
彼女の全身が腐敗の煙に包み込まれた。
「秋風さんっ!!」
影の上のクナイがボロリと腐り、お兄さんが動き出した。
風切りの音と同時に、秋風さんの黒髪がなびく。
複数のクナイが畳に刺さり、またお兄さんの動きが止まった。
クナイがお兄さんの影を畳に縫い付けてる。
その間だけ、お兄さんは身動きできないんだ。
秋風さんは無言でこちらに向かって歩いてくる。
クナイが腐ると同時に、また動き出すお兄さん。
ドドドッと何本ものクナイが影を縫い止める。
縫い止め、腐らせ、また縫い止める。
その繰り返しが何度も続き、秋風さんとお兄さんの距離は徐々に縮まった。
秋風さんの着物の表面が腐り始めている。
「あ・・・秋風さんっ」
「・・・・・」
「秋風さん、危ない・・・っ」
「・・・・・」
あたしの声に何も答えず、彼女は前に進み続ける。
お兄さんに向かって。
その目は一途にお兄さんを見つめていた。
ただお兄さんだけを・・・。
お兄さんは、暗い情念の光の宿った目で見返している。
彼女が秋風さんだと分かっているのだろうか?
沈黙のままに二人は向かい合い、近づき合う。
「永継様・・・」
秋風さんが、ぽつりとその名を口にした。
ゴオオオッ!と黒紫の煙が秋風さんに襲い掛かる。
彼女の全身が腐敗の煙に包み込まれた。
「秋風さんっ!!」


