神様修行はじめます! 其の二

「あたしはいいから・・・」

「君が良くても僕は良くないんだ!」

治療を続けながら、彼はあたしを怒鳴り散らして叫ぶ。


「君がいなくなってしまったら、僕は生きていけないんだよ!」

「・・・門・・・」

「誓ったろう! 生涯共にいると! 絶対に守りきってみせると!」

彼は勢い良くお兄さんに振り返った。


「兄上、どうかお願いです! 彼女に罪はありません!」

「・・・・・」

「どうか、お時間を下さい!・・・どうか兄上!」

「・・・・・兄上!」


門川君の懇願にも、お兄さんは歩みを止めなかった。

門川君は苦悩の表情で強く唇を噛む。

そして・・・

「兄上、お許しを・・・!」


白い輝き。

大きな氷柱が光る円陣から現れた。

その鋭い切っ先がお兄さんに狙い定め、弾丸のように放たれる。


あぁ・・・貫かれる・・・!


結局こうなってしまう。止められなかった。

門川君がお兄さんを倒してしまう。

彼が自分の手で兄を倒す事態だけは避けたかったのに。

彼をその罪と苦しみから守りたかったのに。


あたしの力不足のせいだ。


門川君、お兄さん、ごめんなさい・・・。


門川君もあたしも、許しを請うようにそれを見ていた。