神様修行はじめます! 其の二

だいたい何であの女は普通に呼吸してるわけ!?

内臓、腐んないの!?

もともと腹黒で根性腐ってるから!?


「扇子だよ」

「扇子?」

奥方の両膝の前に、たたまれた扇子が置かれているのが見える。


「扇子は結界の意味を待つんだ」


結界。ってことは・・・

扇子から向こうは守られてるってわけ?

奥方の性格が、これ以上腐りようがないからじゃなかったのか。


それにしても扇子にそんな力があるなんて。

この前100均行った時、安いやつ買っておけば良かった!


お兄さんが、じりじりとこちらに近づいてくる。

門川君を狙ってるんだ! 早く滅火の炎で・・・!


慌てて体を起こそうとして、胸に走る激痛にうめいてしまった。

あまりの痛みに、せっかく復活した呼吸も止まってしまう。


「天内君、動くな!」

「で、でも・・・」

「でも、じゃない! 分かってるのか!? 体の中が腐ってるんだぞ! 腐ってるんだぞ!?」

「お願い、強調しないでよ・・・」


腐ってる腐ってる連発されると、寿命が縮まりそう・・・。


「門川君、治療を止めて逃げて・・・」

「いま治療を止めたら、全部台無しになってしまう!」

「なってもいいから逃げて・・・」

「どこがいいんだ! 全然良くない!」