奥方が今まで犯してきた数々の非情な罪。
それは消えないし、それこそ絶対に許すつもりもない。
でもその姿は・・・
教え込まされた言葉を、機械みたいに繰り返す姿は哀れだと思った。
「自分が神様だって思うんなら・・・それでもいいよ」
そう思わなければ生きていくのも苦しいのなら・・・
それでいい。ただ・・・
「あんたが神だというのなら、この世界に手を出さないで」
この世界は、人の世界。
人が治めて生きていくんだ。
自分を神だと信じる奥方でもなく。
命を亡くしたお兄さんでもなく。
「門川は、僕が継ぎます」
そうだ。この世に人として生きる、門川君が当主となる。
背筋を伸ばし、奥方とお兄さんに正面切って向かう彼が。
この断固たる決意に満ちた彼が背負うんだ。
そして生きて行く。
望む事のために、成すべき事を成して。
譲れないものを抱え、大きな荷物を背負い、歩いて、歩いて、歩き続けて。
ふと、いつか振り向いたときに・・・
気が付けば、そこに・・・
そこにきっと・・・
『ならぬ・・・』
暗い地の底から聞こえるような声が、それを拒否した。
お兄さん・・・。
お兄さんの体から、濃紫と黒の入り混じった気体が漂う。
すごく・・・すごくドロリとした密度の濃い湿った空気。
拒絶とか、否定とか、恨みとか、憎悪とか、憤怒とか・・・
そういった感情を全部混ぜ合わせれば、こんな色になるんだろうか。
それは消えないし、それこそ絶対に許すつもりもない。
でもその姿は・・・
教え込まされた言葉を、機械みたいに繰り返す姿は哀れだと思った。
「自分が神様だって思うんなら・・・それでもいいよ」
そう思わなければ生きていくのも苦しいのなら・・・
それでいい。ただ・・・
「あんたが神だというのなら、この世界に手を出さないで」
この世界は、人の世界。
人が治めて生きていくんだ。
自分を神だと信じる奥方でもなく。
命を亡くしたお兄さんでもなく。
「門川は、僕が継ぎます」
そうだ。この世に人として生きる、門川君が当主となる。
背筋を伸ばし、奥方とお兄さんに正面切って向かう彼が。
この断固たる決意に満ちた彼が背負うんだ。
そして生きて行く。
望む事のために、成すべき事を成して。
譲れないものを抱え、大きな荷物を背負い、歩いて、歩いて、歩き続けて。
ふと、いつか振り向いたときに・・・
気が付けば、そこに・・・
そこにきっと・・・
『ならぬ・・・』
暗い地の底から聞こえるような声が、それを拒否した。
お兄さん・・・。
お兄さんの体から、濃紫と黒の入り混じった気体が漂う。
すごく・・・すごくドロリとした密度の濃い湿った空気。
拒絶とか、否定とか、恨みとか、憎悪とか、憤怒とか・・・
そういった感情を全部混ぜ合わせれば、こんな色になるんだろうか。


