「わらわは、わらわは、選ばれし特別な存在!」

うわ言のように同じ言葉を繰り返す。

自分に言い聞かせるように。


「わらわは、意味が有って生まれてきたのじゃ!」

その言葉に必死にすがり付くように。


「わらわは、絶対に絶対に絶対に・・・」


絶対に、絶対に・・・・・・・


壊れた機械みたいだ。

これがこの人の根っこだったんだ。

この人の全ての言動の根源。


門川君の意思を操ろうとした事。

自分の子どもを、役立たずって罵った事。

たとえ人の命を犠牲にしても、お兄さんを当主にしようとした事。


ただ自分の過去を再現していたんだ。

周囲から言われた事を口にして、周囲がやった事を真似た。


・・・どうしてなんだろう?

いつから、こんな事になっちゃったのかな?

なぜ、なぜ・・・


「母上・・・・・」


きちんと畳に正座した門川君が、奥方に語りかける。

オウムのように同じ言葉を繰り返す奥方に。


「我らは、神ではないのです」



なぜ、神の末裔だなんて言葉に、これほど意味を求めるようになったんだろう。

どうしてここまで、「神」って言葉に頼るようになっちゃったんだろう。