神様修行はじめます! 其の二

何を望もうが、それは人の自由だ。

その自由は他人が手を出してはならない決め事。

どんな道を生きるかは当人が決める。

そして誰もが、好きに生きていくべきだ。


でも・・・


人は絶対に、侵してはならない領域がある。

踏み込んではならない所があるんだ。

守らなければ、世界が成り立たなくなる領域が。


それをこの人達は超えた。

そして引き返さなかった。

自分たちではなく、世界の方を変えようとした。

自分達は神なのだからと、理屈をつけて。


あんた達はね・・・

無人島にでも移り住むべきだったんだ。

その小さな世界で、神じゃ神じゃ、我らは神じゃって言いながら生きていけば良かったんだ。


だってこっちの世界では、そんな事したって通用しないんだもの。

世界に拒絶されてしまうから。


あたしの言葉を黙って聞いていた奥方は、扇子で口元を覆った。

そして、ほんの少しだけ笑った。


「愚かな。神が拒絶されるわけがなかろう」

「拒絶されてるんだよ。はっきりと」

「天の意思は、この世界において絶対なのじゃ」

「じゃあなんで・・・」


あたしは一呼吸置いて、言った。


「なんでお兄さんは、力を継がずに生まれてきたの?」