神様修行はじめます! 其の二

天に選ばれし至高の存在。

そのわらわを差し置いて、当主の妻の座を得ようとする娘達。

なんと身の程知らずよ。

あぁ、嘆かわしや。神に歯向かう恐れ多き罪人ども。


「父と母は、もっとも罪深い娘をひとり、殺した」

「・・・殺した!?」

「当然じゃ。これは天罰」


天の意思は遂げられねばならぬ。

このわらわが、下賎な人間の娘などに後れを取るわけにはいかぬのだから。


これは正しき行いなのじゃ。

だから表ざたになることも無く、娘の死は病死として片付いた。


ひとり・・・またひとり・・・

天の意思に背く者達は消えていく。

下賎な娘。その父母、その家臣達。


我欲にまみれた人間は、天の裁量によって断罪され命を落とした。

神により間違いは正された。正しき道が示されたのだ。



「・・・信じられない」

あたしは、やっとの事でそれだけ言えた。

それ以外に言葉が見つからない。


間違いが正された? 人殺しが正しい道だって言うの?

天罰? 天の意思って何よそれ。


「天が殺したんじゃない! あんた達が殺したんでしょ!?」

あんたが当主の妻になるために!

一族の栄華が欲しいために!

そんなの全然天の意思じゃない!


「あんた達の醜い我欲よ!」

「これは天の定め。神の意思じゃ」

「絶対に違う! あんた達は間違っている!」