神様修行はじめます! 其の二

あたしは、彼の背中に覆い被さった。

そして・・・


泣いた。


「うっ・・・うぅ・・・」

言葉にできない熱い涙が、次から次へと頬へ流れる。

そして彼の背中を濡らした。


彼の背中は激しく揺れる。

慟哭と共に。絶望と共に。

非業にあえぎ苦しみ、耐え難い痛みに全身で悶絶している。


あたしはその背中を、泣きながらさすり続けた。



ひどい・・・

ひどい、ひどい、ひどい。

ひどすぎる。


なんで彼がこんな目に遭わなきゃならないの?

なんでこんな思いをしなきゃならないの?

どこまで・・・どこまで・・・


「どこまで残酷な仕打ちをすれば気が済むの!!?」


あたしは涙に濡れた顔を上げて叫んだ。

お兄さんの背後の姿に向かって。

ゆるゆると扇子を動かし続ける姿に向かって。


「この・・・鬼ババア―――ッ!!!」


声を限りに叫んでやる。


「鬼ババア! 悪魔ババア! 妖怪ハバア!」

絶叫のあまりに、声が引っくり返った。

「ゴキブリ! ウジ虫! ミミズ!」

裏返ってかすれた声で、あたしは叫び続けた。