窪んだ両目の奥に、小さな光が宿った。
ほの暗い炎のような揺らめき。
『永久には・・・決して渡すものか』
暗い声が空間に響き渡る。
その篭もった音の中に確かに込められた、ひとつの感情。
・・・恨み。
間違いなくその声には、根深い恨みの念が息づいていた。
「それは困ったのぉ。永久よ、お前に当主の座を譲る気は無いそうじゃ」
「あ・・・・・」
「さて、どうする?」
声も出せない門川君を見ながら笑う、紅い唇。
人形のような真っ白な顔。
一重の鋭い目。
ふわりと動く扇子の風。
「久方ぶりの、仲むつまじき兄弟の逢瀬じゃ。ゆるりと話し合うがよい」
優しげで残酷な言葉が、奥方から放たれた。
『永久・・・』
ぴくんっ!
名を呼ばれ、門川君の体が反応する。
「あに・・・うえ・・・?」
『奪うと言うのか?』
「あに、うえ・・・」
『お前は我には持てぬ全てを持ちながら、なお、我から奪うと言うか?』
「あにうえ・・・」
『・・・憎い』
門川君の体が、びくんと跳ねた。
『憎んでも憎んでも、まだ足りぬ』
ほの暗い炎のような揺らめき。
『永久には・・・決して渡すものか』
暗い声が空間に響き渡る。
その篭もった音の中に確かに込められた、ひとつの感情。
・・・恨み。
間違いなくその声には、根深い恨みの念が息づいていた。
「それは困ったのぉ。永久よ、お前に当主の座を譲る気は無いそうじゃ」
「あ・・・・・」
「さて、どうする?」
声も出せない門川君を見ながら笑う、紅い唇。
人形のような真っ白な顔。
一重の鋭い目。
ふわりと動く扇子の風。
「久方ぶりの、仲むつまじき兄弟の逢瀬じゃ。ゆるりと話し合うがよい」
優しげで残酷な言葉が、奥方から放たれた。
『永久・・・』
ぴくんっ!
名を呼ばれ、門川君の体が反応する。
「あに・・・うえ・・・?」
『奪うと言うのか?』
「あに、うえ・・・」
『お前は我には持てぬ全てを持ちながら、なお、我から奪うと言うか?』
「あにうえ・・・」
『・・・憎い』
門川君の体が、びくんと跳ねた。
『憎んでも憎んでも、まだ足りぬ』


