あの、侘しい庵に隠されていたお兄さん。
秋風さんに守られていたはずなのに。
お兄さんのミイラを・・・
奥方が召喚したの!?
門川君は片ヒザ立ったまま、我を忘れたようにお兄さんのミイラを見続けている。
ミイラは、目の無い両目で門川君を見返す。
兄弟がこの場で見詰め合った。
「我が子、永継よ・・・」
奥方が、奇妙に優しげな声を出した。
「永久がの、おぬしの当主の座が欲しいと言うておる」
ぎちぎち・・・。
きしむ音。不気味な気配。
ミイラが・・・動き始めた。
首が微妙に、かくんと動く。
「当主の座が、欲しくて欲しくてたまらぬそうじゃ」
かくん、かくり。
ぎち、ぎち、ぎち。
糸がもつれた操り人形のように、全身がぎこちなく動く。
ミイラは、おぼつかない動きで立ち上がった。
呆けたままの表情の門川君は、逆にヘタリとその場に崩れた。
あたしは目の前の光景に、もう、息をするだけでやっとだ。
「おぬしの座を奪うそうじゃ。・・・どうする? 永継よ」
『・・・渡さぬ』
ミイラの声。
全身から響いてくるような、篭もった暗い音。
『渡さぬ。渡さぬ。決して渡さぬ』
秋風さんに守られていたはずなのに。
お兄さんのミイラを・・・
奥方が召喚したの!?
門川君は片ヒザ立ったまま、我を忘れたようにお兄さんのミイラを見続けている。
ミイラは、目の無い両目で門川君を見返す。
兄弟がこの場で見詰め合った。
「我が子、永継よ・・・」
奥方が、奇妙に優しげな声を出した。
「永久がの、おぬしの当主の座が欲しいと言うておる」
ぎちぎち・・・。
きしむ音。不気味な気配。
ミイラが・・・動き始めた。
首が微妙に、かくんと動く。
「当主の座が、欲しくて欲しくてたまらぬそうじゃ」
かくん、かくり。
ぎち、ぎち、ぎち。
糸がもつれた操り人形のように、全身がぎこちなく動く。
ミイラは、おぼつかない動きで立ち上がった。
呆けたままの表情の門川君は、逆にヘタリとその場に崩れた。
あたしは目の前の光景に、もう、息をするだけでやっとだ。
「おぬしの座を奪うそうじゃ。・・・どうする? 永継よ」
『・・・渡さぬ』
ミイラの声。
全身から響いてくるような、篭もった暗い音。
『渡さぬ。渡さぬ。決して渡さぬ』


