みんな・・・ついに来たよ。

ここに、あたし達は辿り着いたよ。


門川君が、勢い良く両手でふすまを開く。

パ――ンッと小気味の良い音が鳴り響いた。



ただっ広い空間。

まだ新しい畳が敷き詰められた部屋。

壁際に飾られた、息を呑むほどのきらびやかな調度品。


その最奥、一段高い場所に・・・・・


目的の人物が座していた。



不思議な形に高く結い上げられた髪。

それを飾る、べっ甲と翡翠のクシ。


見目も鮮やかな総刺繍の着物。

襟元からチラリと覗く、濃い翠色。

絹の艶、帯止めの透き通る宝玉。


あたし達の真正面に座り、身動きひとつせず、じぃっとこちらを見ている。


この人だ。

この女だ。この女なんだ。


誰もが、門川君に言う言葉がある。

『お前さえ生まれてこなければ良かったのに』


・・・違う。そうじゃない。


この女なんだ。


この女が全ての原因なんだ。

苦しみも悲しみも、涙も悲劇も、死も。

みんなみんな・・・

全てこの女が生み出しているんだ。