怖気づきながらも鬼達は唸り、隙有らば攻撃しようとしている。

しま子が、鬼達とあたし達の間に立ちはだかった。

すさまじい形相で、鬼達を睨みつける。


ここから先は一歩も通さない。

そんな気迫に満ちている。


「しま子、一緒に行こう」

あたしの言葉に、しま子はふるふると首を横に振った。


「この子はここで足止め役をするつもりのようだねぇ」

「だって、しま子も鬼なんです。力が封印されてしまってるんじゃ・・・?」

「お互い封じられてる同士、地力のデカい方が勝つって事さ」

「そんな・・・」


充分には戦えないしま子を残してなんて・・・。

いくら敵も条件は一緒とはいえ、しま子はひとり。

相手はこんな多人数なのに。


「天内君、先を急ぐぞ」

「門川君。だって・・・」

「しま子を信じろ」

「・・・・・」

「それに、何を言ってもしま子はここから動かないさ。絶対に」


しま子・・・。

両足で、しっかりと大地に立つしま子の背中。

鬼達に正々堂々と向かう姿。

凛とした気高い表情。


自分にとって譲れないものを、誇らしげに宣言している姿。


しま子、しま子・・・。