神様修行はじめます! 其の二

「今日もまた、無粋なものを連れてるじゃないか」

鬼達を見ながら、主さんがちょっと呆れたような声を出す。


鬼達はなんだか、ものすごく嫌なものを見るように主さんを眺めている。


怨霊たちの時みたいに、逃げ出すまではいかないんだけれど。

ずりずりと後ずさりながら、こちらを遠巻きにしてる。

そして気を取り直したように、主さんに向かって威嚇の声を上げて・・・

「ちょいとお黙りっ」

と一喝されて、また後ずさった。


その様子を見ながら、主さんはふぅっと息をつく。


「あんたらゲテモノ好きなのかい?」

「別に好きな訳でも、連れ歩いているわけでも無い」

「そのこましゃくれた物言いは、門川の者だね?」

「君が、沼に住み着いているという白ヘビか?」


するするっと門川君の足元に主さんが近づいてきた。

そして首をもたげて、門川君を下からしげしげと見つめる。


門川君と主さんは、少しの間見つめ合った。


「人の子にしては、有らざるほどの力を持って生まれてきたね」

「・・・わからない」

「尋常ならざる力は、磁場と同じだ。あんたは災いを引き寄せるんだよ」

「わからない」

「なるほど、これでは絹糸あたりの者でなくては守りきれないね」

「わからないんだ」

「なぜ自分という存在が世に生まれたか、知りたいのかい?」

「・・・・・」


一瞬の沈黙の後、門川君は・・・

「知りたい」

そう答えた。