神様修行はじめます! 其の二

ここにある。しま子の道は、ここにある。

選ぶのはあたしじゃない。しま子だ。

しま子はあたしを守ってくれる。

ここで戦い、あたしを守る事を選んだんだ!


「分かったか?」

「うんっ」

「よし。理解してもらえたところで、さっさと先に進むぞ!」


門川君はそう言うなり、あたしの腕をまた力強くつかんで走り出す。


「天内君!」

「はいっ!?」

「頼むからもう、この急いでいる時に話をややこしくするのは止めてくれ!」

「は、はい・・・」


手を取り合って走る前方に、数体の鬼達が回り込んだ。

あたし達は慌てて足を止め、じりじりと後退する。

後ろを振り返ると、しま子が苦戦している姿が見えた。


しま子ひとりに、集団アリみたいに鬼達が群がっている。

しま子は殴り、切り裂き、叫びながら暴れまくって振りほどく。

でも、すぐに次々と鬼達がしま子に飛び掛る。


青い血、緑の血、赤い血が飛び散り、交じり合った。


ど、どうしよう・・・。

あたしがグダグダしてたせいだ。せっかくしま子が時間を稼いでくれていたのに。


目の前の鬼達が、あたしと門川君に向かって迫ってきた。

どうしよう。

門川君の術も効かない。あたしの術も効かない。

しま子は完全に苦戦している。このままじゃ・・・。


なんとかしなきゃ! でもどうする!?

どうする!? どうする!? どうする!!?



その時・・・



「おやおや。こりゃまたずいぶん修羅場だねぇ」


焦って頭がまとまらないあたしの耳に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。