神様修行はじめます! 其の二

「しま子! もういいんだよ! もう仲間の元へ帰って!」

鬼達の集団の中でひとり、果敢に戦うしま子に叫ぶ。

もういいんだよ!

もう帰って! あるべき場所へ!


「しま子、間違いを正さなきゃだめだよ!」

「天内君」

「門川君! お願い一緒にしま子を説得して!」

「何が間違いなんだ?」

「え? あ、だからさっきから何度も・・・!」

「しま子との出会いや、積み重ねた出来事や、思い出も間違いなのか?」

「あ・・・・・」


門川君は、真っ直ぐにあたしを見た。

こっちが思わず逸らしたくなるくらい、揺るぎの無い視線で。


「しま子が僕たちに注いでくれる温かい感情も、間違っているのか?」

「・・・・・」

「君にとっては、それらの全てが間違いだと言うんだな?」


門川君の淡々とした口調にあたしは言葉が詰まった。

それは、そういうわけじゃ、無いよ。

あたしは首を左右に振った。


それだけは間違いじゃない。

断じて誓える。


見上げれば必ずそこにある、しま子の笑顔。

そっと慰めてくれる温もり。

辛い時に捧げられた、精一杯の優しさ。

いつも全身全霊で、その身を傷付け、犠牲になって守ってくれた。


それは間違いであるはずがない。

それらの出来事の全ては絶対に真実だ。

決して偽者なんかじゃない。変わりのない真実だ。