神様修行はじめます! 其の二

しま子がすさまじいスピードで飛び出した。

鬼達の集団の中に突っ込んでいく。

こんぼうのような太い両腕で、あっという間に複数の鬼を殴り倒した。


鬼達は体から緑色や青色の血を噴出し、次々とあちこちに吹っ飛んで行く。

しま子は返り血を浴び、咆哮した。

そしてまた鬼達に向かって襲い掛かる。


「しま・・・!」

あたしはあぜんとして、その光景を見ていた。


しま子・・・仲間の所に帰るんじゃなかったの?

そのために本来の姿になったんじゃないの?

なんで攻撃してるの? なんで? なんで?


門川君に腕をグイッと引っ張られ、正気に戻る。

「か、門川君・・・」

「行くぞ」

あぜんとしているあたしとは対照的に、門川君はすっかり冷静な表情に戻っている。


「門川君、しま子が鬼達を攻撃してるよ!」

「ああ、分かってる。この間に行くぞ」

「い、行くって・・・」


なんで、なんでこんな事に?


「なんでしま子は仲間を攻撃してるのっ」

「そんなの簡単に分かるだろう?」

「・・・」

「しま子の仲間は鬼ではなく、僕達だからだ」


門川君は、ごく当然な顔でそう言った。

あたし達が、しま子の仲間。

その言葉はあたしの胸に突き刺さる。


「門川君、それは違うよ」

それは違う。

あたし達の思い込みとカン違いでしかないんだよ。