神様修行はじめます! 其の二

だから・・・だから・・・

「だからね、しま子・・・」

「うあぁ~?」

「だから、だからもう、さよな・・・」


唇が震えて、言葉が出てこない。

さよならの言葉が言えない。

未練たらしく、涙で隠してごまかしている。


言えない。さよならなんてとても言えない。

言いたくない!

だから、察して。しま子。

このまま、何も言わずに言わせずに・・・行って。


涙の流れるあたしの頬を、しま子の大きな手が包む。

ゴツゴツした、鋭い爪のある鬼の手。

初めて会った時、あれほど恐怖した手。


今は・・・こんなにも大切な・・・。


「うああぁ~~・・・」

しま子がニッコリ微笑んだ。

一つ目が無くなっちゃうくらい、目を細めて。

満面の、いつもあたしに見せてくれる優しい笑顔。

そして・・・


振り返り、鬼達に対峙したしま子の形相は、一変した。


「うがあああぁぁ―――!!!」