神様修行はじめます! 其の二

「違うよ! 違うんだよ!」

あたしは大声で叫んだ。

鬼達に向かって、精一杯の声で叫んだ。


「天内君?」

「違うの! 全部あたしのせいなの!」


あたしの言葉が鬼達に通じるかどうか分からない。

でも、言わずにいられない。


不思議そうに、純真な目であたしを見つめるしま子のために。

しま子には何の責任も罪も無い事を、はっきりと証明したい。


「あたしが無理やり引きずり込んだの! だからしま子は何も悪く無いんだよ!」


ずっとあたしの側にいてくれたしま子。

あたしを守ってくれたしま子。


「しま子は・・・別に好きであたしの側にいるわけじゃ無いんだよ」


そう言葉にしたら・・・寂しくて涙が出てきた。


あたしが辛い時、差し出してくれる花束。

優しい笑顔。

命懸けで戦ってくれた姿。

それらは全て、しま子の本心じゃない。

そうなるように、あたしが無理に仕向けたんだ。


『しま子』と名付けて主従関係を築き、支配した。

しま子にしてみれば否も応も無い。

滅火の力で精神を支配されてしまったんだから。


そこにしま子の意思は一切なかった。

選択の自由は無かった。

無理やりの強制による服従だ。