神様修行はじめます! 其の二

「偶然?」

「本来、天内の力は滅し去るもの。しま子のケースは偶然が生んだ、非常にまれな現象だ」


偶然、まれな現象・・・。

やっぱり間違いない。これは全てあたしの責任なんだ。

しま子は望んでこうなったわけじゃない。


しま子は、自分の意思であたしを選んだわけじゃないんだ。

無理やり選ばされたんだ。

それより他に道が無かったから。


獣人達の姿が脳裏に浮かんだ。

勝手に生きる道を変えられ、命も意思も尊厳も踏みにじられた獣人達。

選ぶべき道を閉ざされた、悲しい存在。


同じだ。

あたしも、しま子に同じ事をしたんだ。

しま子の意思をないがしろにして、道を閉ざした。

しま子を、鬼の世界では生きていけなくしてしまった。


無意識だったし、悪気があったわけじゃないけど・・・。

それで許される事じゃない。


鬼達の視線は、一点にしま子に集中する。

侮蔑と、拒絶と、悪意と敵意の充満した視線が。

大量のどす黒い視線を一身に浴びて、しま子は咆哮する。


全ての仲間を敵にして、たったひとりぼっちで。

・・・あたしのせいで。