神様修行はじめます! 其の二

「祓うも調伏も無理なら、せめて足止めと思ったが・・・」

「門川君・・・」

「厄介すぎる。この時間の無い時に・・・」


そうだ。一刻も早く先へ進まなきゃならないのに。

しま子を狙う鬼達のせいで、ここで完全に足止めをくらってしまった。

きっと鬼達はこれが目的で集められたんだ。


あたしの滅火の力が役に立たないかな?

意識を近くの鬼に集中した。

鼓動が速まり、全身の血が沸き熱くなる。


鬼の周囲の黒い霧、ひときわ濃い中心の渦。

あの場所に・・・


行け!!


鬼の全身が滅火の炎に包まれる。

音を立てて燃え上がる煉獄の炎。赤く踊る火柱。

やった・・・! 効果あった!


鬼が唸り声を上げ、身を震わす。

体を包んだ炎が四方に飛び散って拡散し、虚しく消えてしまった。

あぁ・・・・・。


「無駄だよ」

消える炎を呆然と見るあたしに、門川君が静かに語る。


「鬼は、世界の『畏怖すべきもの』そのものなんだ。滅っしたりできる存在じゃないんだよ」

「じゃあ、しま子はどうして・・・?」


どうしてあの時、あたしはしま子の心を変える事が可能だったの?


「しま子は、あの時すでに僕に使役されていた」

「・・・・・」

「君のおじい様の残した力も作用したんだろう。偶然が重なったんだ」