神様修行はじめます! 其の二

しま子は、拒絶されてしまった。

それはあたしのせいだ。

あたしが、しま子の心を勝手に変えてしまったから。

しま子はそれを望んだわけじゃない。


カラスだって、別に白い体で生まれてきたかったわけじゃないだろうに。

自分には何の責任もない事で、責められ、排除される。


そう。しま子には何の責任もないんだ。

責任はあたしにある。全て、このあたしに。


「しま子・・・」

「うああ?」

「・・・ごめんなさい」

「・・・・・」


振り向いたしま子が、ちょこんと首を傾げてあたしを見た。

その姿が、痛めつけられてうずくまる、白いカラスと重なる。

真っ直ぐな視線が、あたしには痛かった。



『留まるは心情、その影は抱擁。透明な時の中に、ただ眠れ』


門川君の詠唱と共に、キィンとした冷たい風が拭いた。

鬼達の体が、足元からみるみる凍り付いていく。

あっという間に、鬼達の全身が分厚い氷の中に閉じ込められてしまった。


門川の沼であたし達を襲った怪魚のように、完全に氷のオブジェの状態だ。


「よし! 今のうちに・・・」


天に轟く咆哮と共に、門川君の氷が砕け散る。

次々と鬼達は、難なく全身を覆う氷を砕いて自由を取り戻した。

門川君が舌打ちをした。