神様修行はじめます! 其の二

そんな・・・。

しま子は、鬼の中でも特に強い鬼だから、特別大変だったんだろうけど。

それでも、これだけの鬼を今、瞬時に使役するのは無理って事は良く分かる。


「でも、どうして?」

どうして、この場にこんなにも鬼達が?

使役されてないって事は、人の言う事は聞かないんでしょ?

なのに何で、ここに都合良く集まってるの?


「もちろん、それ相応の術式を使って集められたのだろうが・・・」

「が?」

「もっと根本的な理由がある」

「根本的?」

「しま子だよ」


しま子? しま子が原因ってどういう事?

あたしはしま子の大きな背中を見上げた。

しま子は、唸り声を上げながら鬼達を睨みつけている。


「しま子は、裏切り者なんだよ」


・・・裏切り者?


「鬼とは、人を喰らうもの。人の立場とは一線を引くべき存在だ」

「・・・・・」

「その鬼が人に組し、人を愛している。それは鬼にとって堕落であり、裏切りなんだ」

「・・・・・」

「神に近しい『鬼』の誇りを捨て、穢した。しま子は鬼の世界から完全に排除されてしまったんだよ」


鬼の誇りを捨てて、穢した?

完全に鬼の世界から排除?


しま子・・・。

しま子は、鬼達全てから敵対されてしまったの?

・・・あたしの、せいで?