「あぁ、かなりまずい状況だ」
門川君が、あたしを後ろに庇いながら言った。
その声の底に、真剣に焦りの色が現れている。
あたしの背後からも、鬼達がじりじりと詰め寄ってくる。
しま子が「うがあぁ!」と鬼達に向かって叫びながら、あたしの背後に立った。
「門川君、この鬼達って今すぐ全員使役できないの?」
「無茶を言わないでくれ!」
あたしの提案は、あっさり却下されてしまった。
「鬼を一体使役するのに、どれほどの時間と労力がかかると思ってるんだ!?」
「し、知らないよそんな事!」
「鬼は、『恐るべきもの』『厄災』そのものが具現化したものだ。神にも近しい存在なんだよ」
神にも近しい存在?
鬼って、そんなご大層なものだったの?
そのわりに節分じゃ、豆ひとつで撃退させられてるじゃないの!?
「節分? あれはもともと平安時代の『ツイナ』の儀式から変形して・・・」
「そんな講釈、いま聞いても分かんないから!」
「とにかく鬼を封じるのは至難の技なんだよ!」
でもでも!
しま子の事は使役できたわけなんでしょ?
だったら・・・
「おばあ様と二人がかりで、貴重な術具を惜しげもなく使い、五日間徹夜してぶっ通しで、やっとの事で使役できた」
「・・・・・」
「あの時は、本当に死を覚悟したよ」
門川君が、あたしを後ろに庇いながら言った。
その声の底に、真剣に焦りの色が現れている。
あたしの背後からも、鬼達がじりじりと詰め寄ってくる。
しま子が「うがあぁ!」と鬼達に向かって叫びながら、あたしの背後に立った。
「門川君、この鬼達って今すぐ全員使役できないの?」
「無茶を言わないでくれ!」
あたしの提案は、あっさり却下されてしまった。
「鬼を一体使役するのに、どれほどの時間と労力がかかると思ってるんだ!?」
「し、知らないよそんな事!」
「鬼は、『恐るべきもの』『厄災』そのものが具現化したものだ。神にも近しい存在なんだよ」
神にも近しい存在?
鬼って、そんなご大層なものだったの?
そのわりに節分じゃ、豆ひとつで撃退させられてるじゃないの!?
「節分? あれはもともと平安時代の『ツイナ』の儀式から変形して・・・」
「そんな講釈、いま聞いても分かんないから!」
「とにかく鬼を封じるのは至難の技なんだよ!」
でもでも!
しま子の事は使役できたわけなんでしょ?
だったら・・・
「おばあ様と二人がかりで、貴重な術具を惜しげもなく使い、五日間徹夜してぶっ通しで、やっとの事で使役できた」
「・・・・・」
「あの時は、本当に死を覚悟したよ」


