神様修行はじめます! 其の二

しばらく走っているうちに、周囲が見覚えのある景色になってきた。

ここ、確かに記憶にある。前に来た事がある。

奥方の住んでいる別棟だ。

ついにここまで来た。


暗がりにさえも鮮やかな、色とりどりの花の咲く庭木。

巨大で立派な黒光りする庭石。

広大な庭のどこを見ても、全てが感心するほどの豪華さ。

やっぱり間違いない、奥方の別棟だ。


立派な庭を走り続けていると、渡り廊下が見えてきた。

「あそこだ」

門川君が、その渡り廊下を指差す。


そうだ。あの先に奥方がいるんだ。

あの先に・・・。


「行こう」


彼の言葉に、あたしとしま子がうなづく。

そして渡り廊下に向かい始めた途端、しま子の体がグラリと傾き倒れた。


「しま子っ? どしたの大丈夫?」

起き上がろうとしたしま子が、またよろけて転んだ。

どうしたんだろう、立てないのかな?

さっき倒れた時に足でも挫いて・・・?


・・・・・っ!?


地面から、一本の手が出ていた。

その手が、しま子の片足の足首をがっしりとつかんでいる。

節くれだった、巨大な手。

五本の指には鋭く長い爪。

恐ろしい鬼のような長爪。


そう、それは、まさしく鬼の手だった。