神様修行はじめます! 其の二

「治癒には時間がかかるだよ! そんな事をしている時間がどこにあるだ!?」

「だって遥峰がっ!!」

「永久様は行かねばなんねぇだよっ! 永久様、行ってくれ!」

「いやよ! 絶対に嫌っっ!!」


お岩さんは激しく首を振り、門川君にすがり付いた。


「永久様お願い! 遥峰を助けてっ!!」

「お岩! わからねぇ事を言うな! 永久様を行かせるだ!」

「わからないのはお父ちゃんだよ! 遥峰の命がかかってるんだよ!?」


お岩さんは、目の色を変えて門川君の着物にしがみつく。

セバスチャンさんの血で染まった長手袋が、ギリリと布地をつかんで離さない。

「永久様行かないでっ! 遥峰を助けてっ!」


腰が抜けたように呆然と座り込んでいたあたしも、やっと体に力が戻ってきた。

あたしも門川君にすがり、お岩さんと一緒に叫ぶ。

「門川君! セバスチャンさんを救って!」


あたし達に詰め寄られ、門川君はうなづいた。

再び両手で印を組もうとした時・・・


真っ赤な手が、門川君の両手の中に入り込み、印を邪魔した。


「遥峰っ!!?」

「セバスチャンさんっ!!?」


セバスチャンさんが、見開いた両目で門川君を凝視している。

ゼエゼエと息を吐きながら、首をゆっくりと左右に振った。

そして、まるで笛のようなかすかな響きの声で、言った。


「お行き、下さいませ。永久様・・・」