神様修行はじめます! 其の二

目の前の現象が、よく理解できない。

なんでセバスチャンさんの背中から、手が?

背中から、手って・・・え?


ただぼうっと見ているあたしの目の前で、その手が動き始めた。

すぐそばの、お岩さんに向かって。

ずりずりとセバスチャンさんの背を貫きながら、近づいてくる。


固まったままのお岩さんの頭を、今にも鷲づかみにしようと爪を立てた。


セバスチャンさんの足元から、おびただしい量のツタが噴き出す。

鋭い槍のように獣人の体を音をたてて突き刺し、宙に持ち上げた。

獣人は悲鳴をあげ、もがき、全身串刺しになって力尽きた。


背中から手が抜かれ、支えを失ったようにセバスチャンさんがドサリと倒れる。

仰向けに倒れたその姿を、あたし達は見つめた。


目は見開かれ、口から血がコポコポと溢れる。


ぜえぜえと、何か変な呼吸音が漏れている。


真っ黒な燕尾服が真っ赤な血を吸い、彼の全身を妖しい色彩に染め上げていた。



セバスチャンさん セバスチャンさん セバスチャンさん・・・


あたしの全身から血の気が引いていく。

少しずつ目の前の現実が、頭の中に受け入れられていく。

それと同時に、お岩さんの表情が変わっていった。


お岩さんの呆然とした表情の、目の焦点が、徐々に合っていく。

顔全体の筋肉が収縮したように、歪んで。

そして・・・


ぎゃああぁぁ―っ!!! と絶叫した。