「ふむ、その通りじゃ。皆、急げ」
「よし! 行こうっ!!」
「気をつけて行くのじゃぞ」
「へ?」
絹糸、何を他人事みたいに言ってんのよ?
あんたも一緒に・・・
唸り声と、土を踏む音が間近に聞こえて振り向いた。
そこに巨大な獣がいた。
獅子のような体躯。全身が黄金色。
長いたてがみは、ひときわ強く光彩を放っている。
真っ黒な両目は、底知れぬ闇のように深い。
四肢の巨大な爪は銀色に輝き、飛び出た長い牙が赤々と濡れている。
その足元に、血に染まった権田原の民と牛達の姿が・・・。
あたしは、ゾッと寒気がした。
この獣は・・・ケタが違う。
何が違うのか、どう違うのか、説明はできない。
でも、感じる。
生き物として、本能的に察知する。
近寄ってはいけない相手というものを。
触れてはいけない存在というものを。
この獣は・・・人の世に放たれてはならない存在だ。
その獣があたし達に向かって、じりじりと近づいてくる。
「よし! 行こうっ!!」
「気をつけて行くのじゃぞ」
「へ?」
絹糸、何を他人事みたいに言ってんのよ?
あんたも一緒に・・・
唸り声と、土を踏む音が間近に聞こえて振り向いた。
そこに巨大な獣がいた。
獅子のような体躯。全身が黄金色。
長いたてがみは、ひときわ強く光彩を放っている。
真っ黒な両目は、底知れぬ闇のように深い。
四肢の巨大な爪は銀色に輝き、飛び出た長い牙が赤々と濡れている。
その足元に、血に染まった権田原の民と牛達の姿が・・・。
あたしは、ゾッと寒気がした。
この獣は・・・ケタが違う。
何が違うのか、どう違うのか、説明はできない。
でも、感じる。
生き物として、本能的に察知する。
近寄ってはいけない相手というものを。
触れてはいけない存在というものを。
この獣は・・・人の世に放たれてはならない存在だ。
その獣があたし達に向かって、じりじりと近づいてくる。


