神様修行はじめます! 其の二

当主さんとお岩さんの力強い声。

振り向くと、もう全員がハシゴを上ってきていた。

セバスチャンさんが視線を周囲に渡らせ、抜け目なく状況を計算している。


・・・ほんとだ。お岩さんの言う通り。


セバスチャンさんに抜け目とか、不確実性とか、そーんな可愛げなんてあるはずないか。


確実な事しか行わないし、言葉にはしない。

だからセバスチャンさんの大丈夫は、絶対の信頼がおけるんだ。


「パール様」

「に――っ」


セバスチャンさんの呼びかけに、子猫ちゃんが応えた。

一歩前に飛び出し、小さな体を震わせる。

そして大きく背を反らし、天に向かって高く鳴いた。


ノドから溢れる、澄みわたる鈴のような音色。

どこまでも通るようなその声が、月に向かい、ひたむきに響く。


月から零れる銀の光。

白いベールが光を包み込み、細く輝く糸のように織り込み降ってくる。


白銀の糸が権田原の民たちの体に降り注ぎ、血を止め、傷を癒す。

倒れた者達は再び立ち上がり、勇ましく戦い始めた。


「我が子よ、見事じゃぞ!」

「に―――っ」


絹糸の嬉しそうな声に、子猫ちゃんが得意げに応える。

本当にお見事!!

さすがは絹糸の産んだ子だよ!!