神様修行はじめます! 其の二

目の前が土ぼこりに覆われる。

思わず顔をしかめた。

細く開けた両目で見たその光景は・・・


まるでファンタジー映画みたいだった。


権田原の民達が戦っている。

斧や槍、刀や弓。それぞれの武器を手に、血を流しながら。

門川の守衛達を相手に必死の形相で戦っている。


倒れる者。

その体を乗り越えて、相手に襲い掛かる者。


それはまさに、死闘だった。


獣のいななきが聞こえる。

門川の戦馬達が暴れていた。


一角獣のように角を生やし、針のように尖った体毛に覆われている。

黄と黒のまだら模様の躯体で駆け回り、権田原の民を蹴散らす。

倒れた者に襲い掛かり、大きなひずめで踏み荒らした。


その戦馬に、権田原の牛達が立ち向う。


いつもの穏やかな目は、血のような真っ赤に変貌していた。

見る間に、隆々とした二本の角が生えてくる。

その角で戦馬の一角をガッシリと押さえつける。

体中の筋肉が音をたてて盛り上がり、戦馬を天高く放り投げた。