神様修行はじめます! 其の二

ナオが騒いで、永世が怒って、我が呆れて・・・。

皆で揃って食事をする。

まるでいつもと変わらぬ光景に、いつの間にかなっておった。


「今思えば、ナオは皆の緊張をほぐしてくれておったのやも知れぬのぉ」

「しかし緊張感が無さすぎるのも問題だろう」


門川君がメガネのブリッジを指で押し上げる。


「集中の糸が緩んでしまったらどうするんだ」

「張り詰めるより、平常心が一番じゃよ」

「それは確かにそうだが・・・」

「そうそう! 平常心平常心!」

「・・・やめてくれ。君が言うと、緩むというよりブッツリ切れそうな気がする」

「ちょっとなによそれ!」


すまし顔の門川君に文句を言うと、絹糸がほっほと笑った。


「すっかり元通りの光景じゃのぉ」

「え?」

「夏の頃、門川に皆でおった頃に戻ったの。当たり前の、あるべき姿に」

「・・・・・・・」


あぁ、そうだ。

あの頃は毎日こんな感じだった。


あたしは無知で、お気楽で。

門川君は、無表情で冷たい態度で。

絹糸は、呆れたり怒ったり。

しま子はきょとんとして、あたし達を見ては微笑んでいた。


戻ってきた。

完全に失ってしまったと思ってたものが、また戻ってきたんだ。