「とても、これから決戦とは思えない空気だな」
「そだねー。すっごい和やか」
「誰のせいだと思ってるんだ。この緊張感の無さを」
にこにこ笑うあたしに、門川君が呆れて溜め息をつく。
「なによー、あたしのせいだって言うの?」
「その通りだろう?」
「違うもんっ」
「いや違わぬ。小娘のお陰じゃよ」
「・・・絹糸?」
「ナオがそうじゃった。いつも戦いの前は大騒ぎしとったよ」
長いシッポをユラユラ揺らし、絹糸の目は遠くを見る。
「決戦前、永世はいつも緊張して神妙な顔をしておったものじゃよ・・・」
戦いにおいて、当主の娘としての責任は重大。
永世は、特に生真面目な性質じゃったからのぉ。
気負いすぎて、いつも自分を追い込んでおった。
そのたびに、ナオが永世をからかっておったわ。
『おい永世! なんだよその悲惨な顔は! これから死にに行くみたいだぞ!』
怒り出す永世に、ナオは豪快に笑っていつも同じ事を言った。
『俺たちは勝ちに行くんだよ! だからもっと威勢のいい顔しろよ!』
「そだねー。すっごい和やか」
「誰のせいだと思ってるんだ。この緊張感の無さを」
にこにこ笑うあたしに、門川君が呆れて溜め息をつく。
「なによー、あたしのせいだって言うの?」
「その通りだろう?」
「違うもんっ」
「いや違わぬ。小娘のお陰じゃよ」
「・・・絹糸?」
「ナオがそうじゃった。いつも戦いの前は大騒ぎしとったよ」
長いシッポをユラユラ揺らし、絹糸の目は遠くを見る。
「決戦前、永世はいつも緊張して神妙な顔をしておったものじゃよ・・・」
戦いにおいて、当主の娘としての責任は重大。
永世は、特に生真面目な性質じゃったからのぉ。
気負いすぎて、いつも自分を追い込んでおった。
そのたびに、ナオが永世をからかっておったわ。
『おい永世! なんだよその悲惨な顔は! これから死にに行くみたいだぞ!』
怒り出す永世に、ナオは豪快に笑っていつも同じ事を言った。
『俺たちは勝ちに行くんだよ! だからもっと威勢のいい顔しろよ!』


