部屋へ戻り、障子を開けたあたしの目に一番に飛び込んできたものは・・・

「おおおぉぉっ!!」


山盛りのお握り!

ホカホカと湯気の立つ豚汁!

漬物の盛り合わせ!


やったあ! もう夜食が届いてたんだぁ!


「うわあ―――いっ!!」

畳の上をスライディングする勢いで、夜食の前に滑り込んだ。


「いっただっきまーす!」

「年頃の娘とはとても思えぬのぉ・・・」

両手でお握りを持ち、左右交互にかぶり付くあたしを見て、絹糸が呆れ声を出す。


「だってもう、お腹ぺこぺこだったんだもん!」

権田原に来てから、何かと食いっぱぐれる事が多くてさー。

食べられる時に、ガッツリ食っとかないと!

これから決戦なんだし。


「腹が減っては戦が出来ぬ! ってねー」

「飯粒がアゴについておるぞ」

「んー、取れた?」

「やれやれ、緊張感のまるで無いやつじゃのぉ」

「でも気力はあるよ!」


しま子が、かいがいしく豚汁をお椀によそってくれた。

はぁ・・・熱々でうまい!

味噌の風味が生きてるねぇ。野菜の甘味がが引き立つよ。

漬物も、よく漬かってること!

いい色に染まってるねぇ。