優しい笑顔でそう言って、あたしに向かって深々と頭を下げた。


「セバスチャン! 早くいらっしゃい!」

「ただいま参ります。ジュエル様」


燕尾服の背中が、お岩さんに向かって真っ直ぐ歩いていく。

お岩さんは、それをじっと待っている。

やがてふたりは、揃って歩き出した。


お岩さんが、少しだけ前を歩いて。

セバスチャンさんが、お岩さんの後ろにピッタリとついて。

同じ方向に向かって歩いていく。



いつか・・・いつかきっとあたしも、門川君と繋がるんだ。

あんな風に、あのふたりみたいに。

見えない絆を紡いでいくんだ。

きっと、そうなってみせる。

あのふたりみたいになってみせるんだ!



固くそう決意してふたりを見送りながら・・・あたしは小首をかしげた。


あのふたり・・・あれで何で恋人同士にならないんだろ??

不思議だなぁ・・・???


男と女って、いろいろ複雑なのね。

奥が深すぎて覗けない。

あたしには、まだよく分かんないや。うん。