「永久様にそっくりだったそうですわ」

「てことは、門川君の女版?」

「ええ」

「そりゃ美人だったろうなぁ・・・!」


切れ長に彫り込まれた二重。

流れるような、彫刻のような鼻梁。

優美な唇。

あれはみんな、お母さんから譲り受けたものなんだ。


「ふたりは、たちまち恋に落ちたそうですわ」

「そっかぁ」

「でも永守様には、奥方が・・・」

「・・・・・」

「お母様は愛人になり、永久様が生まれた」

「うん・・・」

「ねぇ、天内さん」

「なに?」

「もしあなたが、永久様に愛人になって欲しいと頼まれたら、どうしますの?」


あたしはお岩さんを見た。

お岩さんは、変わらず空を見上げたままだ。


「どうしますの? 愛人になりますの?」

「・・・それは・・・」


どうするだろう。

愛人になるかもしれない。

彼に愛してもらえるのなら、それでもかまわないって。


ただ・・・