伴侶は、あくまでも政治目的。

そのせいか、愛のある夫婦生活をした当主夫婦は、ほとんどおりませんの。


ただ例外というものはあるもので。

ごくまれに、本当に愛し合う当主夫婦もおりましたわ。

永世様ご夫婦も、その例ですの。


愛し合う御両親を見て育った、永守様。

永久様のお父様は・・・

だから、奥方の華子様を愛そうとなさったようですわ。

かなり、あれこれと努力なさったようですの。


「でも、お二人の心は通い合わなかったようですわ」

「そうなんだ・・・」

「まぁ、相性というものもありますしね」

「相性以前の問題のような気もするけど。あの奥方じゃ」

「・・・同感ですわ」

「努力して好きになるってのも、ちょっと違う気がするし」

「まったく同感ですわ」


そんな時に、永久様のお母様と出会ったのですわ。

氷血の一族の、優秀な術者で。

それは美しい女性だったそうです。