彼の後について屋敷に向かいながら、あたしは近寄ってきた牛のお尻をぺしんと叩いた。
そーよね。
『あたし達ふたりきり』とかってウツトリしてたけどさ。
周囲を見渡せば、牛やらニワトリやらがいっぱいいるじゃん。
家畜が見守る中で告白しちゃったよ、あたし。
門川君は、あれは告白だとは気付いてないけどね。
「天内君、先に部屋に戻っていてくれ」
「? 門川くんは?」
「岩さんのお父上に、用があるんだ」
「当主さんに?」
今回の件を報告するのかな?
今後の事も相談しないとだめだろうし。
夢見る気分から、一気に現実に引き戻される。
あたし達は、今かなり難しい現状なんだ。
この局面を突破しなければならない。なんとしてでも。
牛の見守る中、告白して浮かれてる場合じゃない。
歩いていく門川君の背中を見送りながら、気持ちを引き締める。
そしてまた、周囲を見渡す。
生き物がのんびりと休んでいる。
自然が穏やかに息づいている。
人々が大切なものを育んでいる。
「大丈夫だよ。ちゃんと守るからね」
あたしは、再び牛のお尻をぺちんと叩いた。
安心して。大事な物はきっと守って見せるからね。
そーよね。
『あたし達ふたりきり』とかってウツトリしてたけどさ。
周囲を見渡せば、牛やらニワトリやらがいっぱいいるじゃん。
家畜が見守る中で告白しちゃったよ、あたし。
門川君は、あれは告白だとは気付いてないけどね。
「天内君、先に部屋に戻っていてくれ」
「? 門川くんは?」
「岩さんのお父上に、用があるんだ」
「当主さんに?」
今回の件を報告するのかな?
今後の事も相談しないとだめだろうし。
夢見る気分から、一気に現実に引き戻される。
あたし達は、今かなり難しい現状なんだ。
この局面を突破しなければならない。なんとしてでも。
牛の見守る中、告白して浮かれてる場合じゃない。
歩いていく門川君の背中を見送りながら、気持ちを引き締める。
そしてまた、周囲を見渡す。
生き物がのんびりと休んでいる。
自然が穏やかに息づいている。
人々が大切なものを育んでいる。
「大丈夫だよ。ちゃんと守るからね」
あたしは、再び牛のお尻をぺちんと叩いた。
安心して。大事な物はきっと守って見せるからね。


