そこでいきなり現実に帰っちゃいますか!?

もうちょっと、こう、余韻ってもんが・・・!


「どうした天内君?」

「も、もう帰っちゃうの?」

「あぁ、もう用は済んだから」

「用って・・・・・」

「どうした? 君はまだ帰らないのか?」


何か別の用事でもあるのか?

本気でそう、あたしに聞いてくる彼。


はあ・・・

力が抜けるわ。がっくり・・・。


そーよね、この切り返しの見事さが、彼なのよ。

気持ちの切り替えが早いというか。

どこまでも現実主義というか。

処理能力が速くて優秀なんだろうけれど。


どーにも彼って、情緒面の育成に支障が出てる。

前に絹糸も同じような事を言ってたっけ。

問題だよなぁ、これって実際。


天才となんとかは紙一重っていうけど。

彼の場合、さらに生い立ちの複雑さも絡まって、かなり突き抜けちゃってる。


情緒面の方も、育てていかなきゃだめだろうなぁ。

でもどうやって?

絵本の読み聞かせとか?

「おかあさんといっしょ」とかの番組を見せればいいのかな?


・・・母親か、あたしは。