「天内君、僕は愚かな人間だ」

「そんな事ないよ!」

「いや、愚かだよ。だからまた同じ過ちを犯すかも知れない」

「・・・・・」

「大切であればあるほど、人は判断を誤りがちだから」


門川君が、あたしの両手を手に取った。

自分の両手で、包み込むように。


「その時は、またさっきみたいに僕を殴ってくれ」

「門川君・・・」

「僕の目を覚ましてくれ。そして今ここで、僕に誓って欲しい」


彼の手に力が込められた。


「もう二度と、何があっても、一生僕から離れないと」



・・・冷たい彼の手。


そして温かい彼の手。


この不思議な感覚。


戻ってきた。

あの時、繋ぎあったふたりの手と手が。


離さないよ。二度と。

こんなにも大切で愛しいものを、誰が離すもんか。

何があっても離さない!


「うん、誓うよ。何があっても、あたしは一生門川君から離れないよ」


二度と・・・。

もう、二度と・・・。


真っ直ぐな瞳で見つめ合う。


心の中であたし達は

お互いの固い決意と誓いの声を聞いていた・・・。